昭和バス廃止路線を歩く(1)

姪浜駅南口を出る加布里行 2006.09.23

1. 11月1日・昭和バス運行計画変更の概説

 昭和自動車は佐賀県から福岡市西部にかけ路線バスを運行する事業者である。
 従来より高割引率の区間指定回数券の発行、一般路線の都市高速への乗せかえなど積極策をとっていたイメージがあるが、ついに立ち行かなくなったようで、11月1日から大幅な路線の整理を行うとこの程発表された。

 10月限りで廃止するとされた路線は以下の通り。
 ・博多駅〜天神〜西新〜姪の浜〜下山門駅〜城の原〜生の松原団地〜ウエストヒルズ〜三陽高校線
 ・今宿〜青木〜三陽高校線
 ・博多駅〜天神〜(都市高速)〜今宿〜西の浦線
 ・姪浜駅南口〜今宿〜周船寺〜前原〜加布里線
 ・今宿野外活動センター〜今宿〜元岡〜谷〜野北〜初〜前原線
 ・今宿〜元岡〜馬場〜初線
 ・前原駅〜糸島高校線

 ただし以下の区間については系統新設の上、運行を継続する。
 ・九大学研都市駅〜(今宿農協前・横浜西)〜西の浦
 ・前原〜師吉〜初〜野北〜谷
 ・前原駅前〜周船寺〜今宿農協前(昭和タクシーにより運行)

 残存路線は前原・九大学研都市駅・姪浜駅をベースとする形となり、福岡〜前原〜加布里・初線「いと・しま号」を除いて福岡市街へと結ぶ交通からは撤退することとなる。

 私自身は福岡に1年程度住んで乗り歩いたにすぎない門外漢ゆえ、細かな点は専門の方に譲るとして、今回は9月23日、10月1日と2回現地を乗り歩いてきた際の状況をお伝えする。

2. 乗車記(9.23・土祝)


博多駅32番乗り場掲出の系統運賃表。6月に値上げされた区間の運賃はテプラで表示。 2006.10.01


姪浜駅北口に入る三陽高校行 2006.09.23


三陽高校に到着した車は構内の駐車場で待機。
2006.09.23


今宿発着所。この10月をもって発着便が無くなる予定である。 2006.09.23

■博多駅交通センター→三陽高校
9.23 14:02〜15:03
 昭和バスは概ね博多駅交通センター32番乗り場発。特に夕方になるとずらずらと列ができるからつ号、いまり号に対してこちらは閑散。時折訪れて時刻表を見ていく人はみんなからつ号とかの方を見て、列に並ぶ。
 ちょうど今日付けで「運行計画変更のお知らせ」(1.で触れた内容)が貼り出されており、その点も含め寂しさがつのる。
 三陽高校行は14:00過ぎにホームに着き、慌ただしく発車。元々高速バス向けにホームドアが外側からしか開かない構造となっているため、運転士さんは降りてきてドアを開け案内し……と忙しい。
 車両はどこぞから移籍してきたと思われる富士重工7E車体(メーカ不明)の大型車。元々運転席側も片側1列だったと思われるところに座席が丁寧に増設されている。
 博多駅発車時点では2,3人だった乗客も天神・西新と進むにつれて増え、姪浜駅北口を出るとでは座席がさらっと埋まるくらいに。見た目では翌月末で廃止になるとは思えない乗り具合だ。この路線は西鉄バスとの競合の関係で下山門駅まで降りることができず、その分乗客はそこまで増える一方ということになるが、やはり採算性には影を落とすことになったのだろうか。
 始めの下車可能停留所、下山門駅で早くも何人か降り、また乗せて下山門団地の中へ入っていく。何人かずつ降ろした後、城の原から細道を戻り、小松原でJRの踏切を見て取って返すUの字を2つ重ねたようなルート。
 生の松原団地であれだけいた乗客はみんな降り、バスは回送状態に。都市高速経由西の浦線が通るバイパスを横切ると、少し先に終点の三陽高校停留所が見えるが、一旦左折しウエストヒルズ内の大通りを通過、西陵高校を回って終点へ。ほとんどラケット状のルートをとる。
 停留所はバス駐車場を兼ねた広場になっており、乗り入れたところで降車。バスは駐車場の方でそのまま待機した。
■三陽高校→今宿
9.23 15:20〜15:32
 土日祝日は1日2本の今宿〜三陽高校線に乗車。
 停留所にははじめ数人いたものの、みんな西鉄バスに乗っていってしまい、今宿行に乗り込んだのは私ひとりだけ。
 駐車場からやってきたのは先ほどと同じバスで、乗り込むと運転士さんが「今宿行だけどいいの?」と。微妙に気まずい(苦笑)。
 バスは一旦東に向かい、西陵高校で折り返す。そして来た道を戻り、三陽高校の前をそのまま通過して今宿方面へ。乗り遅れたら恨めしく見送ることになるのか、とふと思う。
 都市高速経由今宿・西の浦線は先ほどのバイパスが通るが、こちらはそばの旧道を行く形。バイパスに寄り添いつつ離れつつ青木に向かう。
 その青木で1人乗せて「貸切路線バス」は解消。そこから北上し、筑肥線の踏切を渡るともう今宿である。
 西ゆきの道路上停留所で下車。バスはそのまま西へと走り去っていった。

姪の浜から姪浜駅へと折れる 2006.09.23
■今宿(発着所)→姪浜駅北口
9.23 15:36〜15:51
 今宿からは姪浜駅北口〜加布里線で姪浜へ。乗客は6,7人。
 10分ほど遅れてやってきたのは観光型のエアロミディで、中ドアも無し。一方車内は自家用仕様か背もたれは低く青単色のモケット。ただしシートベルトはついているというなんとも不思議な車。
 今宿の街を出ると長垂から海際を行き、海を挟んで能古島への眺望が開ける。この日はヨットが幾艘も波に乗っているのが見えた。
 車窓は海から松原、そして市街地へと移り、小戸を通過。この辺りは5年前なら博多行のバスの時間を気にせず停留所に出られたくらい本数が多かったのだが、今や天神・博多駅直通はほとんど無い。
 改正後も残存するマリノアシティ行とすれ違う。あちらは座席のほとんどが埋まっていたようだ。
 間もなく姪の浜に到着し、半分ほどが下車。下山門線の姪の浜停留所は通過して姪浜駅北口着。結局10分程度遅れは背負ったままで、折り返しの姪浜駅南口発加布里行もその遅れを引きずって出て行ったようだ。

注)走行写真は乗車便とは一致しません。

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last updated at 2006.10.20
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