4. 代行バスとして走った車両

 美祢線代行バスの運行は中国JRバスの一般路線車を中心に、沿線貸切バス事業者の車両も用いて賄われていた。
 運行期間が長く、適宜事業者や車両の入れ替えもあったため、全体についてはほとんど網羅できていないが、撮影できたものに関して掲載した。

1) 中国JRバスの車両

 運行車両で最大勢力を占めたのが傍系の中国JRバスの車両である。大部分は各地から集めた一般路線車だったが、初期を中心に貸切車両も使用されており、後期でもごく一部の便では見ることができた。路線車の中でも、2010年末に訪問した際は大型・中型が混用されていた状態であったが、2011年3月改正頃からは原則的に大型路線車での運行となっていたと見られる。

中国JRバス
644-6953
山口200か・602

初期を中心に使用された貸切車両の例。

2010.08 美祢駅にて 

中国JRバス
334-6952
山口200か・302

山口支店所属の中型車。美祢駅まで乗り入れてくる路線バスでも見ることができた。

2010.12 厚狭駅にて 

中国JRバス
334-5951
島根22き17-89

上の車両と同一車系だが、こちらは島根からの応援車両。
この2台とも、中型車ではあるが座席数の多い仕様が採用されており、それなりに着席定員は確保されていた。

2010.12 長門市駅にて 

中国JRバス
538-1951
山口200か・582

近年山口に転じ、最近の山口ナンバーをつけた車両であるが、新製時には岡山に配置されていた。前後扉やバスカードステッカーにその特徴が残っている。

2011.01 厚狭駅にて 

中国JRバス
534-9903
岡山22か30-93

岡山からの応援車両で、上の車両と同様前後扉が特徴。出入口表示が差し込み式になっているのを生かして、代行バスの乗降方式に併せた表示としているのが特徴的。

2010.12 厚狭駅にて 

中国JRバス
534-9903
山口200か・793

上と同一個体だが、2011年初頭に再登録されて現在のナンバーになっている。

2011.09 厚狭駅にて 

中国JRバス
534-5960
広島22く40-45

比較的後期で見られた広島からの応援車両。車内広告等も広島関係のまま運行されていた。

2011.08 厚狭駅にて 

中国JRバス
534-5956
広島22く40-40

広島からの応援車は基本的に上記の534-5960であったようだが、点検等の際は別の車両が回送されてきていたようだ。

2011.09 長門市駅にて 

中国JRバス
531-8918
山口200か・671

比較的後期で見られた山口支店所属の真新しいエルガ。こちらも点検等の際は基本的に同世代の車両が入っていた様子。

2011.08 重安駅にて 

2) 貸切バス事業者の車両

 美祢線代行バスでは、便によって沿線貸切バス事業者の車両も使用された。
 沿線を中心に比較的中小のタクシー会社が運営する貸切バスが重用されているのが特徴であり、多くは中型〜大型9mサイズで定員30名前後と小回りの利く車両が集められていた。

小野田観光
山口200あ・110

山陽小野田市で貸切バス・タクシー事業を営む事業者。

2010.08 美祢駅にて 

小野田観光
山口22か・214

中型サイズの車両だがシートピッチを広く取った後部サロン仕様で、座席定員は24名と少なめ。

2011.09 厚狭駅にて 

いさむや第一交通
山口200か・・97

山口第一交通グループの「いさむや第一交通」が保有する唯一の貸切車両。

2011.01 厚狭駅にて 

防府構内タクシー
山口22う29-58

沿線からは比較的離れた防府市の事業者だが、日常的に運行に関与していた。

2011.08 厚狭駅にて 

新日本観光交通
山口200か・773

長門市駅近隣及び長門湯本駅前に本社・車庫を構えるタクシー・貸切バス事業者。
ナンバーからは比較的最近購入したと思われる中型貸切車で、内装は比較的簡素な印象。

2011.08 厚狭駅にて 

新日本観光交通
山口200あ・184

区間やダイヤによってはマイクロバスで運行される便も存在した。

2011.08 板持〜長門湯本間 

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余談:平行交通機関の状況

 かつては列車代行バス運行ルート上のほぼ全区間において路線バスの運行が行われていたが、近年では大幅に縮小されている。全線に渡る並行路線は無く、短区間で競合ないし並行する路線としても以下の運行があるのみとなっていた。

※2010年10月〜2011年9月の時点での運行内容をまとめた。運行回数の( )内は土日祝の内容。下は長門市方面、上は厚狭方面に対応する向きの運行回数を示す。厚狭〜湯の峠駅間は平沼田経由を含めた乗車チャンス全体を示した。
事業者 バス運行区間 美祢線相当区間 運行回数
船木鉄道 宇部中央〜厚狭駅〜松ヶ瀬〜美祢駅 厚狭〜美祢(途中経由せず) 1
船木鉄道 厚狭駅〜湯の峠駅〜山中・厚狭駅 厚狭〜湯ノ峠 下4上6
(下2上4)
サンデン交通  下関駅〜厚保駅〜美祢駅〜秋芳洞 厚保〜美祢 9
美祢市(船鉄) 石柱渓・荒川〜南大嶺駅〜美祢駅〜美祢中央病院 南大嶺〜美祢 6(3)
美祢市(船鉄) 美祢中央病院〜美祢駅〜道の駅於福〜上宗済・三軒屋 美祢〜於福 6(3)
渋木・真木地区
乗合タクシー
大ヶ迫〜渋木駅〜湯本温泉・長門市駅・斎木病院
(湯本温泉以北相互の利用不可)
渋木〜長門湯本以北
3(1)
サンデン交通 下関駅〜湯本温泉駅〜長門市駅〜大泊・青海・通 長門湯本〜長門市 下19上17

 サンデン交通が運行する対下関の幹線系統が絡む区間を除いては、コミュニティバスや乗合タクシーが短区間・少数運行されるに止まり、沿線内での広域的な利用、とりわけ高校生の通学は美祢線に大きく依存する状態であった。

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